ランダウ力学 §29問題 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§29の問題の解説です.

問題

振動数γ3ω0における共鳴に対して, 関数b(ε)を求めよ.

解答作成

第1(線形)近似では,

x(1)=f8mω02cos(3ω0+ε)t

となる*1. ここで, 第2近似では, 特定の非線形項のみを残して,

x¨(2)+2λx˙(2)+ω02x(2)+αx(2)2+βx(2)3=3βf8mω02cos(3ω0+ε)tx(2)2

となる. 解の形として

x(2)=bcos[(ω0+ε3)t+δ]

とおくと, 右辺の強制力の項に, 共鳴の性格をもった

3βb2f32mω02cos[(ω0+ε3)t2δ]

が得られる*2. したがって, 問題はふたたび, 本節のはじめに考察した非線形系における通常の共鳴の問題に戻る. 関数関係b(ε)は,

(29.4)b2[(εκb2)2+λ2]=f24m2ω02

f3βb2f/32ω02に, そしてεε/3に置き換えることによって,

b2[(ε3κb2)2+λ2]=9β2b4f24096m2ω06=Ab4

と得られる. ただし, 簡単のため,

A9β2f24096m2ω06

とおいている. この方程式の根は,

(1)b=0,(2)b2=ε3κ+A2κ2±1κεA3κ+A24κ2λ2

である. これから得られるbεの関係を図1に示す.

$b$と$\varepsilon$の関係を表した図
図1

実線と破線の境目の点においては, (2)の右辺にある根号の内部が0になるから, そこでは

εk=3(4κ2λ2A2)4κA

となり,

bk2=4κ2λ2+A24κ2A

となる. 振動が行われうるのはεεkの領域だけであるが, b=0の状態は常に安定であるから, 振動が励起されるためには, 最初の《一撃》がどうしても必要である.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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脚注

*1 : 非線形項は考慮せず, 線形振動を考えている. さらに減衰率λ, 外力の振動数のω0/2からのずれεが振幅に与える影響も無視している. すなわち,

x¨+ω02x=fmcos(3ω0+ε)t

を解く. 式(22.4)から, その解は(振幅部分でεが与える影響を無視すると)

x=fm{ω02(3ω0)2}cos(3ω0+ε)t=f8mω02cos(3ω0+ε)t

となる.

*2 : 実際, 三角関数の半角の公式, 積和の公式から,

cos(3ω0+ε)tcos2[(ω0+ε3)t+δ]=14cos[(ω0+ε3)t2δ]+(他の振動数の項)

となる.

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