ランダウ力学 §22問題3 解説-Shinoryo's Weblog

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§22の問題3の解説です.

問題

ある限られた時間$T$のあいだだけ一定の力$F_0$が働くという場合に(図25), 上と同様の問題を解け.

図25

問題2は以下の通り.

$t < 0$に対して$F=0$, $0 < t < T$に対して$F = F_0 t / T $, $t > T$に対して$F = F_0$という法則(図24)にしたがって外力が働いたのちに, 系の振動がもつ最終的な振幅を求めよ. 時刻$t=0$までは, 系はつり合いの位置に静止している.

解答作成

ここでは変位$x$ではなく, 次の複素量

\begin{align} \xi &= \dot{x} + i \omega x \tag{22.9} \end{align}

を利用して考える. $\xi$に関する次の公式

\begin{align} \xi &= e^{i \omega t} \left( \int_0^t \frac{1}{m} F(t) e^{-i \omega t} \, \mathrm{d}t + \xi_0 \right) \tag{22.10} \end{align}

において, 初期条件より$\xi_0 = 0$とし, 与えられた$F(t)$を代入すると, $t > T$では

\begin{align} \xi &= e^{i \omega t} \int_0^T \frac{F_0}{m} e^{-i \omega t} \, \mathrm{d}t \nonumber \\ &= \frac{F_0}{i m \omega} e^{i \omega t} \left( 1 - e^{- i \omega T} \right) \label{eq_22-3e1} \end{align}

となる. $\xi$に関する次の公式

\begin{align} E &= \frac{m}{2} \left| \xi \right|^2 \tag{22.11} \end{align}

に\eqref{eq_22-3e1}を代入して系のエネルギーを計算すると

\begin{align} E &= \frac{2F_0^2}{m \omega^2} \sin^2 \frac{\omega T}{2} \label{eq_22-3e2} \end{align}

となる. $t > T$では自由振動をする(外力が働かない)はずなので, 振幅を$a$とすると

\begin{align} E &= \frac{m}{2} \omega^2 a^2 \label{eq_22-3e3} \end{align}

となるべきである. \eqref{eq_22-3e2}, \eqref{eq_22-3e3}より,

\begin{align} \frac{2F_0^2}{m \omega^2} \sin^2 \frac{\omega T}{2} &= \frac{m}{2} \omega^2 a^2 \nonumber \\ a^2 &= \frac{4 F_0^2}{m^2 \omega^4} \sin^2 \frac{\omega T}{2} \nonumber \\ \therefore a &= \frac{2 F_0}{m \omega^2} \sin \frac{\omega T}{2} \end{align}

となる.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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