ランダウ力学 §30問題1 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
すしぱく様によるフリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)からの画像をShinoryoが加工した画像

ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§30の問題1の解説です.

問題

支点が鉛直方向に大きな振動数γ(γg/l)で振動している振子の安定なつり合いの位置を求めよ.

解答作成

§5問題3で得られたLagrangianは,

(1)L=12ml2φ˙2+maγ2lcosφcosγt+mglcosφ

である. これから得られる運動方程式から, 変動する力は

(2)f=maγ2lsinφcosγt

となる. また, 量xとして角度φ(π<φπ)をとることにすれば, 系の運動エネルギーの係数はml2となる. ゆえに, 有効ポテンシャルエネルギーは

(30.10)U有効=U+12ω2i,jaij1fifj=U+i,jaij2ξ˙iξ˙j

より,

U有効=mglcosφ+12γ21ml212m2a2γ4l2sin2φ(3)=mgl(cosφ+a2γ24glsin2φ)

となる.

これをφで微分すると,

dU有効dφ=mgl{sinφ(1+a2γ22glcosφ)}

となるから, これが0になるような点はφ=0,πと, cosφ=2gl/a2γ2を満たすφである(最後のはa2γ2>2glの場合に限る). cosφ=2gl/a2γ2を満たすφの, 0<φ<πの範囲にあるものをφ1とする.

  • a2γ2<2glの場合, 有効ポテンシャルエネルギーの増減表は表1のようになる.
    表1 Uの増減表(a2γ2<2gl)
    φπ0π
    dU/dφ00+0
    U
    ゆえに, 安定なつり合いの位置はφ=0に限る.
  • a2γ2>2glの場合, 有効ポテンシャルエネルギーの増減表は表2のようになる.
    表2 Uの増減表(a2γ2>2gl)
    φπφ10φ1π
    dU/dφ0+00+00
    U
    ゆえに, 安定なつり合いの位置はφ=0,πに限る.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

関連記事

Search

About Me

自分の写真
理系大学生でした. Bloggerを利用して発信を行っています.

Labels

Blog Archives