ランダウ力学 §24問題1 解説

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物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§24の問題1の解説です.

問題

3個の原子からなる対称な直線上の分子ABA(図28)の振動数を求めよ. 分子のポテンシャルエネルギーは距離AB, BAおよび角ABAにだけ依存すると仮定する.
図28図28

解答作成

  1. $x$軸方向のLagrangianは,
    \begin{align} L &= \frac{m_\mathrm{A}}{2} \left( \dot{x}_1^2 + \dot{x}_3^2 \right) + \frac{m_\mathrm{B}}{2} \dot{x}_2^2 \nonumber \\ &\quad - \frac{k_1}{2} \left\{ \left( x_1-x_2 \right)^2 + \left( x_3 - x_2 \right)^2 \right\} \label{eq_24-1e1} \end{align}
    となる. 並進運動の消去
    \begin{align} &m_\mathrm{A} x_1 + m_\mathrm{B} x_2 + m_\mathrm{C} x_3 = 0 \nonumber \\ \therefore &x_2 = - \frac{m_\mathrm{A}}{m_\mathrm{B}} \left( x_1 + x_3 \right) \label{eq_24-1e2} \end{align}
    により,
    \begin{align} L &= \frac{m_\mathrm{A}}{2} \left( \dot{x}_1^2 + \dot{x}_3^2 \right) + \frac{m_\mathrm{B}}{2} \frac{m_\mathrm{A}^2}{m_\mathrm{B}^2} \left( \dot{x}_1 + \dot{x}_3 \right)^2 \nonumber \\ &\quad - \frac{k_1}{2} \left\{ x_1 + \frac{m_\mathrm{A}}{m_\mathrm{B}} \left( x_1 + x_3 \right) \right\}^2 \nonumber \\ &\quad - \frac{k_1}{2} \left\{ x_3 + \frac{m_\mathrm{A}}{m_\mathrm{B}} \left( x_1 + x_3 \right) \right\}^2 \label{eq_24-1e3} \end{align}
    となる. ここで, 新しい座標
    \begin{align} \left\{ \begin{aligned} Q_a &= x_1 + x_3 \\ Q_b &= x_1 - x_3 \end{aligned} \right. \nonumber \end{align}
    を導入すると,
    \begin{align} \left\{ \begin{aligned} x_1 &= \frac{1}{2} \left( Q_a + Q_b \right) \\ x_3 &= \frac{1}{2} \left( Q_a - Q_b \right) \end{aligned} \right. \label{eq_24-1e4} \end{align}
    となる. \eqref{eq_24-1e3}, \eqref{eq_24-1e4}より,
    \begin{align} L &= \frac{m_\mathrm{A} \mu}{4m_\mathrm{B}} \dot{Q}_a^2 + \frac{m_\mathrm{A}}{4} \dot{Q}_b^2 - \frac{k_1 \mu^2}{4m_\mathrm{B}^2} Q_a^2 - \frac{k_1}{4} Q_b^2 \label{eq_24-1e5} \end{align}
    となる($\mu=2m_\mathrm{A} + m_\mathrm{B}$は, 分子全体の質量である). ゆえに, $Q_a$, $Q_b$は基準座標となる.
    座標$Q_a$の振動数は
    \begin{align} \omega_a &= \sqrt{\frac{k_1 \mu}{m_\mathrm{A} m_\mathrm{B}}} \end{align}
    となる. \eqref{eq_24-1e4}より, これは$x_1 = x_3$の振動に対応する. \eqref{eq_24-1e2}, \eqref{eq_24-1e4}より, それぞれの原子の振動は図28a)のようになる.
    本編図28a)
    図28a)
    座標$Q_b$の振動数は
    \begin{align} \omega_b &= \sqrt{\frac{k_1}{m_\mathrm{A}}} \end{align}
    となる. \eqref{eq_24-1e4}より, これは$x_1 = -x_3$の振動に対応する. \eqref{eq_24-1e2}, \eqref{eq_24-1e4}より, それぞれの原子の振動は図28b)のようになる.
    本編図28b)
    図28b)


  2. $y$軸方向のLagrangianは,
    \begin{align} L &= \frac{m_\mathrm{A}}{2} \left( \dot{y}_1^2 + \dot{y}_3^2 \right) + \frac{m_\mathrm{B}}{2} \dot{y}_2^2 - \frac{k_2 l^2}{2} \delta^2 \label{eq_24-1e6} \end{align}
    となる. ただし, $\delta$は角度ABAの$\pi$からの差で,
    \begin{align} \delta &= \frac{1}{l} \left\{ \left( y_1 - y_2 \right) + \left( y_3 - y_2 \right) \right\} \end{align}
    となる*1. 並進運動の消去
    \begin{align} &m_\mathrm{A} y_1 + m_\mathrm{B} y_2 + m_\mathrm{C} y_3 = 0 \nonumber \\ \therefore &y_2 = - \frac{m_\mathrm{A}}{m_\mathrm{B}} \left( y_1 + y_3 \right) \label{eq_24-1e7} \end{align}
    と回転運動の消去*2
    \begin{align} y_1 &= y_3 \label{eq_24-1e8} \end{align}
    により,
    \begin{align} L &= \frac{m_\mathrm{A} \mu}{m_\mathrm{B}} \dot{y}_1^2 - \frac{k_2 l^2}{2} \delta^2 \end{align}
    となる. ここから, $\delta$に関する振動数
    \begin{align} \omega_\delta &= \sqrt{\frac{2k_2 \mu^2}{m_\mathrm{A} m_\mathrm{B}}} \end{align}
    が得られる.

本編での議論により, この分子の各運動の自由度は

  • 一直線上での分子全体としての並進運動:$1$
  • 一直線上での振動:$2$
  • 一直線上からはずれる並進運動:$2$
  • 一直線上からはずれる回転運動:$2$
  • 一直線上からはずれる振動:$2$

となる. $x$軸方向のLagrangianから得られた振動数$\omega_a$, $\omega_b$が, 「一直線上での振動:$2$」に対応する. $y$軸方向のLagrangianから得られた振動数$\omega_\delta$は「一直線上からはずれる振動:$2$」に対応するが, 対称性よりこの2つの自由度の振動はどちらも同じ振動数$\omega_\delta$をもつ.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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脚注

*1 : 下の図のように考えると,

\begin{align} \frac{y_1 - y_2}{l} &= \sin \delta_1 \approx \delta_1 \nonumber , \\ \frac{y_3 - y_2}{l} &= \sin \delta_1 \approx \delta_2 \nonumber \end{align}

となる. ゆえに,

\begin{align} \delta &= \delta_1 + \delta_2 = \frac{1}{l} \left\{ \left( y_1 - y_2 \right) + \left( y_3 - y_2 \right) \right\} \nonumber \end{align}

となる.

角度$\delta$を考える際の図

*2 : 座標原点を2のつりあいの位置にとると,

\begin{align} m_\mathrm{A} \left( \bm{r}_{10} \times \bm{u}_1 + \bm{r}_{30} \times \bm{u}_3 \right) &= \bm{0} \nonumber \end{align}

となるから, $x$成分, $y$成分, $z$成分のそれぞれで計算すると,

\begin{align} \left\{ \begin{aligned} &y_{10} z_1 - z_{10} y_1 + y_{30} z_3 - z_{30} y_3 = 0 , \\ &z_{10} x_1 - x_{10} z_1 + z_{30} x_3 - x_{30} z_3 = 0 , \\ &x_{10} y_1 - y_{10} x_1 + x_{30} y_3 - y_{30} x_3 = 0 \end{aligned} \right. \nonumber \end{align}

となるが, つり合いの位置は$y_{10} = y_{30} = z_{10} = z_{30} = 0$, $x_{10} = - x_{30}$となるから, 最終的に$z$成分の式のみが残り,

\begin{align} y_1 - y_3 &= 0 , \nonumber \\ \therefore y_1 &= y_3 \nonumber \end{align}

となる.

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