ランダウ力学 §18問題5 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§18の問題5の解説です.

問題

U=α/rn(n>2,α>0)の場合について同様に断面積を求めよ.

§18問題4は以下の通り.

U=α/r2の場の中心に粒子の「到達」する有効断面積を決定せよ.

解答作成

有効ポテンシャルエネルギーは

(1)U有効(r)=mρ2v22r2αrn

である.

dU有効(r)dr=mρ2v2r3+nαrn+1

であるから, dU有効(r)/dr|r=r1=0とすると,

r1=(nαmρ2v2)1n2

となる. 求めたr1では極大値をとり,

(2)U有効(r1)=(n2)α2(mρ2v2nα)nn2

となる. (以上, 図1参照. )

有効ポテンシャルの図
図1

この有効ポテンシャルエネルギーの極大値を上回るエネルギーを有する粒子のみ, 中心に到達する.

E=mv22

であるから, その条件は

U有効(r1)<E,(n2)α2(mρ2v2nα)nn2<mv22,ρ2<n(n2)2nn(αmv2)2n

となる. ゆえに, 中心に到達するρの最大値ρmax

ρmax2=n(n2)2nn(αmv2)2n

であり, 求める有効断面積は

(3)σ=πρmax2=πn(n2)2nn(αmv2)2n

となる.

問題4と問題5の違い

n=2において, 有効ポテンシャルエネルギーは

U有効(r)=mρ2v22r2αr2(4)=1r2(mρ2v22α)

である. これは,

(5)ρ<2αmv2

を満たすときにのみ, 図2のような中心に到達しうるようなグラフになる. このとき, 任意のrU有効<0であるから, 任意のE>0で中心に到達する. ゆえに, 条件(5)を満たせばよいのである.

$n=2$のときの有効ポテンシャルの図
図2 係数が+の場合(上)との場合(下)の両方を示している
中心に到達しうるのはの方

一方, n>2であれば(エネルギーEの値の制限はともかく)それだけで中心に到達しうるようなグラフになる. しかし, U有効>0であるrの範囲が存在するので, (2)以上のエネルギーを有していないと中心に到達しない.

問題4と問題5には, 以上のような違いがあるのである. ゆえに, 求め方も異なるように見えているのである.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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