ランダウ力学 §18問題1 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§18の問題1の解説です.

問題

半径aの絶対剛体球(すなわち相互作用がr<aU=, r>aU=0にしたがう)による粒子の散乱断面積を決定せよ.

解答作成

球の外では粒子は自由に運動し, 一方その内側では運動がそもそも起こり得ない. ゆえに, 軌跡は2つの直線で, その直線は球に触れる点を通る直線に対して対称である.

本編図19図19

図19より,

ρ=asinφ0=asinπχ2=acosχ2

となる. ゆえに,

(18.7)dσ=2πρ|dρ(χ)dχ|dχ

より

dσ=2πacosχ2|a2sinχ2|dχ(1)=πa22sinχdχ

となり, また

(18.8)dσ=ρ(χ)sinχ|dρ(χ)dχ|do

より

(2)dσ=a24do

となる.

このように, C系では散乱は等方的である. (1)を全てのχにわたって積分すれば, 全断面積σ=πa2が求められる. これは, 粒子がともかく散乱されるためにはそこを通らなければならない衝突面積が, 球の断面積であることを示している.

L系に移るためには,

(17.4){tanθ1=m2sinχm1+m2cosχ,θ2=πχ2

にしたがいχθ1で表さなければならない. これは, §16問題2と同様に計算すれば, 以下のようになる.

  • m1<m2のとき
    do4π=sinθ1dθ12(2m1m2cosθ1+1+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1)
    となり, 立体角を使えば
    do=do1(2m1m2cosθ1+1+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1)
    となる. ゆえに,
    (3)dσ=a24(2m1m2cosθ1+1+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1)do1
    となる.

  • m1>m2のとき
    do4π=sinθ1dθ11+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1
    となり, 立体角を使えば
    do=2do11+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1
    となる. ゆえに,
    (4)dσ=a221+m12m22cos2θ11m12m22sin2θ1do1
    となる.

  • m1=m2のときには
    (5)dσ=a2|cosθ1|do1
    となる.

また, はじめに静止していた球に対しては, いつでもχ=π2θ2がなりたち,

(6)dσ=a2|cosθ2|do2

となる.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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