ランダウ力学 §9問題3 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§9の問題3の解説です.

問題

つぎのような場のなかでの運動に際して, 運動量Pおよび角運動量Mのどの成分が保存されるか.
  1. 無限に広がった一様な平面の場.
  2. 無限に長い一様な円柱の場.
  3. 無限に長い一様なプリズムの場.
  4. 2つの点の場.
  5. 無限に広がった一様な半平面の場.
  6. 一様な円錐の場.
  7. 一様な円環の場.
  8. 無限にのびた一様な円柱状らせんの場.

解答作成

  1. 無限に広がった平面をxy平面とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表1のようになる.
    表1
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    x軸に沿った平行移動Px
    y軸に沿った平行移動Py
    z軸まわりの回転Mz
    例えば,
    U(r)={1(z=0)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  2. 円柱の軸をz軸とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表2のようになる.
    表2
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    z軸に沿った平行移動Pz
    z軸まわりの回転Mz
    例えば,
    U(r)={1(r1)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  3. プリズム(角柱)の軸をz軸とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表3のようになる.
    表3
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    z軸に沿った平行移動Pz
    例えば, 四角柱を例にして
    U(r)={1(1x1,1y1)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  4. 2つの点はz軸上にあるとすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表4のようになる.
    表4
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    z軸まわりの回転Mz
    例えば,
    U(r)={1((x,y,z)=(0,0,1),(0,0,1))0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  5. 半平面はy軸で仕切られたxy平面とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表5のようになる.
    表5
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    y軸に沿った平行移動Py
    例えば,
    U(r)={1(z=0,x>0)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  6. 円錐の軸をz軸とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表6のようになる.
    表6
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    z軸まわりの回転Mz
    例えば,
    U(r)={1(0<z<1,0<r<1z)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  7. 円環の軸をz軸とすると, 力学系の性質が不変である移動と保存される量は, 表7のようになる.
    表7
    力学系の性質が不変である移動保存される量
    z軸まわりの回転Mz
    例えば,
    U(r)={1(0<z<1,1z2<r<1z2)0(others)
    のような場を考えればよいであろう.

  8. らせんの軸をz軸とすると,
    • z軸のまわりに角度δφだけ回転し, z軸に沿ってh2πδφだけ平行移動させる」という移動
    に関して, 力学系の性質は不変である(ただし, hはらせんの歩みを示し, 1周(角度2π)だけ回転するとhだけらせんが進むことを意味する). そのときのLagrangianの変化は
    δL=Lzδz+Lφδφ=(P˙zh2π+M˙z)δφ=0
    となるが, δφは任意であるから
    P˙zh2π+M˙z=0ddt(Mz+h2πPz)=0Mz+h2πPz=const
    となる. したがって, 保存されるのはMz+h2πPzである.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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