ランダウ力学 §32問題8 解説-Shinoryo's Weblog

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§32の問題8の解説です.

目次[非表示]

1問題
2解答作成
3参考文献
- 3.1ちなみに
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5脚注

問題

一様な円錐があって, その底面の円周は一つの平面上をころがり, 頂点は, 平面の上方, 底面の半径に等しい高さの点に静止して保持される(したがって, 円錐の軸は平面に平行である). この円錐の運動エネルギーを求めよ.

解答作成

(円錐の図を書くのが面倒なので, 本編p.131の図43をご覧ください. )

並進運動のエネルギーと回転運動のエネルギーに分けて考える.

平面上の $X$ 軸と円錐の軸との間の角度を $θ$ とする. この角度は, 円錐が転がっていくにつれて変化する.

並進運動

さて, 並進運動を瞬間的に考えると, $Z$ 軸を回転軸とした回転運動と考えられる(ある意味, そのままである). その回転運動の角速度は当然, $\dot{θ}$ である. $a$ を頂点から慣性中心までの距離とすると, 慣性中心の運動の速さは

\begin{aligned} (1) & V & = a \dot{θ} \end{aligned}

である. 円錐の質量を $μ$ とすれば, 並進運動の運動エネルギーは

\begin{aligned} (2) & T_{並進} & = \frac{μ}{2} V^{2} = \frac{μ a^{2} {\dot{θ}}^{2}}{2} \end{aligned}

となる. 頂点から慣性中心までの距離は,

\begin{aligned} (3) & a & = \frac{3}{4} h \end{aligned}

である(こちらの記事参照)から, これを代入すると,

\begin{aligned} (4) & T_{並進} & = \frac{9 μ h^{2} {\dot{θ}}^{2}}{32} \end{aligned}

となる.

回転運動

図考える慣性主軸.
ベクトル

OA

が基底ベクトル

e_{1}

e_{3}

のみで表されるように, 慣性主軸

x_{1}

x_{2}

を選んでいる.

続いて, 回転運動のエネルギーについて考える. この回転運動の角速度 $Ω$ は, 直線 $OA$ のまわりの回転の速さとして計算される. すなわち,

\begin{aligned} (5) & V & = a Ω \sin α \end{aligned}

となる $Ω$ である(ただし, $2 α$ は円錐の頂角である)^*1から,

\begin{aligned} (6) & Ω & = \frac{V}{a \sin α} = \frac{\dot{θ}}{\sin α} \end{aligned}

である. 円錐の軸のまわりの慣性モーメントを $I_{3}$ とする. そして, 残りの慣性主軸( $x_{2}$ )としては, 円錐の軸および直線 $OA$ に垂直な直線を選ぶ. すなわち, 角速度ベクトル $Ω$ の各慣性主軸への射影は, それぞれ $Ω \sin α$ , $0$ , $Ω \cos α$ となる. ゆえに, 回転運動の運動エネルギーは