ランダウ力学 §32問題6 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§32の問題6の解説です.

問題

半径Rの円柱の内側の面にそってころがる半径aの一様な運動エネルギーを見いだせ.

解答作成

本編図41図41

並進運動のエネルギーと回転運動のエネルギーに分けて考える.

外側と内側の両方の円柱の中心を結ぶ直線と鉛直軸の間の角度をφとする. この角度は, 円柱が転がっていくにつれて変化する.

並進運動

さて, 並進運動を瞬間的に考えると, 外側の円柱の軸を回転軸とした回転運動と考えられる(ある意味, そのままである). その回転運動の角速度は当然, φ˙である. 慣性中心は外側の円柱の軸からRaだけ離れているから, 慣性中心の運動の速さは

(1)V=φ˙(Ra)

である. 円柱の質量をμとすれば, 並進運動の運動エネルギーは

(2)T並進=μ2V2=μ2(Ra)2φ˙2

となる.

回転運動

続いて, 回転運動のエネルギーについて考える. 円柱の軸のまわりの慣性モーメントをI3とする. この回転運動の角速度Ωは, 外側と内側の両方の円柱の瞬間的な接線のまわりの回転の速さとして計算される. すなわち,

(3)V=aΩ

となるΩであるから,

(4)Ω=Va=φ˙Raa

となる. ゆえに, 回転運動の運動エネルギーは

(5)T回転=I3Ω22=I32(Ra)2a2φ˙2

となる. 一様な円柱の軸のまわりの慣性モーメントI3§32問題2のcで求められており,

(6)I3=μ2a2

となるから, これを代入すると

(7)T回転=I3Ω22=μ2(Ra)2φ˙2

となる.

並進運動と回転運動の合計

以上から, 求める運動エネルギーは,

(8)T=3μ4(Ra)2φ˙2

である.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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