ランダウ力学 §15問題3 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§15の問題3の解説です.

問題

ポテンシャルエネルギーU=α/rに小さな追加項δU(r)を付け加えると, 有界な運動の軌跡は閉じることをやめ, 1回転ごとに軌道の近日点が小さな角δφだけ位置を変える. δφ
  1. δU=β/r2
  2. δU=γ/r3
の場合に決定せよ.

解答作成

次の式

(14.10)Δφ=2rminrmaxMr2dr2m(EU(r))M2r2

を利用する. 見かけ上の発散を防ぐため,

Δφ=2Mrminrmax2m(EU(r))M2r2dr

と変形する.

U(r)=αr+δU(r)

とおくと, 被積分関数は,

2m(EU(r))M2r2=2m(E+αrδU(r))M2r2=2m(E+αr)M2r2m2m(E+αr)M2r2δU(r)+O((δU(r))2)

δU(r)のベキで展開できる. 0次の項は有界な軌道なら2πとなる. 1次の項は求めるδφを表し,

δφ=Mrminrmax2m2m(E+αr)M2r2δU(r)dr=M0π2m2m(E+αr)M2r2δU(r)drdφdφ=M0π2m2m(E+αr)M2r2δU(r)2m(E+αr)M2r2Mr2dφ=M0π2mr2MδU(r)dφ(1)=M(2mM0πr2δU(r)dφ)

となる(drについての積分を, 摂動を受けていない運動の軌跡に沿ってのdφについての積分に変数変換した*1).

  1. aの場合,
    δφ=M(2mM0πβdφ)(2)=2πβmM2=2πβαp
    となる*2.

  2. bの場合,
    δφ=M(2mM0πγrdφ)=M(2mM0πγ(1+ecosφ)pdφ)=M(2mγMpπ)=M(2πm2αγM3)(3)=6πm2αγM4=6πγαp2
    となる*3.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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脚注

*1 : なお, 摂動を受けていない楕円でのrφの関係は,

φ=Mr2dr2m(E+αr)M2r2+const

で与えられる. 微分形では,

dφdr=Mr22m(E+αr)M2r2

である.

*2 : pは摂動を受けていない楕円の半通径で

(15.4a)p=M2mα

と与えられる.

*3 : p*2と同じ, eは摂動を受けていない楕円の離心率で

(15.4b)e=2EM2mα2+1

と与えられる.

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