ランダウ力学 §13問題 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
すしぱく様によるフリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)からの画像をShinoryoが加工した画像

ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§13の問題の解説です.

問題

質量Mの1つの質点と, n個の, 互いに同一な質量mをもった質点とからなる系がある. 慣性中心の運動を消去してn個の質点の運動についての問題に導け.

解答作成

以下のように位置ベクトルを定める.

  • R:質量Mの質点の位置ベクトル
  • Raa番目の質量mの質点の位置ベクトル

また, ra

(1)ra=RaR

とする. 座標の原点を慣性中心にとると,

(2)MR+maRa=0

となる.

(1), (2)からR, Raraで表す. Rに関して,

MR+ma(ra+R)=0(M+nm)R=maraR=mM+nmara

となる. 時間微分すると

R˙=mM+nmava,(3)R˙2=m2(M+nm)2(ava)2

となる. また, Raに関して,

Ra=R+ra

となる. 時間微分すると

R˙a=R˙+vaR˙a2=R˙2+va2+2R˙va(4)=m2(M+nm)2(bvb)2+va22mM+nmvabvb

となる.

この系のLagrangianは

L=MR˙22+m2aR˙a2U

であるから, (3), (4)を用いてraで書き直すと,

L=M2m2(M+nm)2(ava)2+m2a{m2(M+nm)2(bvb)2+va22mM+nmvabvb}U=Mm22(M+nm)2(ava)2+nm32(M+nm)2(ava)2+m2ava2m2M+nm(ava)2U(5)=m2ava2m22(M+nm)(ava)2U

となる. このようにして, Lagrangianをraの関数として表せたので, n個の質点の運動についての問題に導けた.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

関連記事

Search

About Me

自分の写真
理系大学生でした. Bloggerを利用して発信を行っています.

Labels

Blog Archives