ランダウ力学 §44問題 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§44の問題の解説です.

問題

変分原理(44.10)より軌跡の微分方程式を求めよ.

変分原理(44.10)

(44.10)δ2m(EU(q))dl=0

である.

解答作成

変分を実行すると,

δ2m(EU)dl=δ(2m(EU))dl+2m(EU)d(δl)=r(2m(EU))δrdl+2m(EU)d(δl)=Urm2m(EU)δrdl+2m(EU)d(δl)

となる. ここで, dl2=dr2, すなわちdld(δl)=drd(δr)となるから,

δ2m(EU)dl=Urm2m(EU)δrdl+2m(EU)drdld(δr) =Urm2m(EU)δrdl+2m(EU)drdld(δr)dldl =Urm2m(EU)δrdl+2m(EU)drdlδrδrdlddl(2m(EU)drdl)

となる(ただし, 第2項を部分積分した). 積分の限界ではδr=0となるから, 第2項は消える. 任意のδrに対してこの変分が0になるためには,

ddl(2m(EU)drdl)=Urm2m(EU)(1)2EUddl(EUdrdl)=Ur

とならなくてはならない. これが軌跡の方程式となる.

(1)の微分を実行する. それにあたって,

(2)F=Ur,(3)t=drdl

を導入する. Fは力のベクトルであり, dr/dlは軌跡の接線方向の単位ベクトルである. これらを用いると,

d(EU)dlt+EUd2rdl2=F2EU(drdl(EU)r)t+EUd2rdl2=F2EU(t12EUUr)t+EUd2rdl2=F2EU(Ft)t+2(EU)d2rdl2=F

となるから,

(4)d2rdl2=F(Ft)t2(EU)

となる.

ベクトルF(Ft)tは, 軌跡に垂直な方向への成分Fnである((Ft)tが軌跡に接する方向への成分であるのだから). 一方, 導関数d2r/dl2=dt/dlは, n/Rに等しい(nは軌跡の主法線方向の単位ベクトル, Rは軌跡の曲率半径). EU=mv2/2を代入して,

(5)nmv2R=Fn

を得る.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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