ランダウ力学 §32問題5 解説

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物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§32の問題5の解説です.

問題

平面上をころがる円柱(半径$R$)の運動エネルギーを見いだせ. 円柱の質量は, 慣性中心の1つが円柱の軸に平行で, それから$a$だけ離れたところを通るようなぐあいに, 体積分布しているものとする. この主軸に関する慣性モーメントを$I$とする.

解答作成

本編図40図40

並進運動のエネルギーと回転運動のエネルギーに分けて考える.

円柱の軸に平行な回転主軸から円柱軸に引いた垂線(図40において長さを$a$としているもの)と鉛直軸(図40において長さを$R$としているもの)の間の角度を$\varphi$とする. この角度は, 円柱が転がっていくにつれて変化する.

並進運動

さて, 並進運動を瞬間的に考えると, 円柱と平面の接線を回転軸とした回転運動と考えられる. その回転運動の角速度は, 円柱自体の角速度と同じ$\dot{\varphi}$である.

慣性中心は円柱と平面の接線から$\sqrt{a^2 + R^2 - 2aR \cos \varphi}$だけ離れている(余弦定理より)から, 慣性中心の運動の速さは

\begin{align} V &= \dot{\varphi} \sqrt{a^2 + R^2 - 2aR \cos \varphi} \end{align}

である. 円柱の質量を$\mu$とすれば, 並進運動の運動エネルギーは

\begin{align} T_{\text{並進}} &= \frac{\mu}{2} V^2 = \frac{\mu \dot{\varphi}^2}{2} \left( a^2 + R^2 - 2aR \cos \varphi \right) \end{align}

となる.

回転運動

続いて, 回転運動のエネルギーについて考える. 円柱の軸に平行な回転主軸に関する慣性モーメントが$I$と与えられている. また, 円柱自体の角速度は$\dot{\varphi}$である. ゆえに, 回転運動の運動エネルギーは

\begin{align} T_{\text{回転}} &= \frac{I \dot{\varphi}^2}{2} \end{align}

である.

並進運動と回転運動の合計

以上から, 求める運動エネルギーは,

\begin{align} T &= \frac{\mu \dot{\varphi}^2}{2} \left( a^2 + R^2 - 2aR \cos \varphi \right) + \frac{I \dot{\varphi}^2}{2} \end{align}

である.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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