ランダウ力学 §50問題 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

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ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§50の問題の解説です.

問題

時間に依存する周期を持った調和振動子(Hamiltonian(49.11))について, 正準変数をもちいて表現した運動方程式を書け.

Hamiltonianは,

(49.11)H=p22m+mω2q22

である.

解答作成

この場合, 本編でのパラメータλの役割は, ωが担う.

本編での式(λωに変えてある)

(50.1)S0=p(q,E;ω)dq,(50.2)p=S0(q,I;ω)q,(50.3)w=S0(q,I;ω)I,

では, ωは一定として扱う. ωが一定のときw=ωtである*1から,

(1)q=2Emω2sinw=2Imωsinw,(2)p=2mEcosw=2mωIcosw

となる. したがって,

S0=pdq=p(qw)I,ωdw(3)=2Icos2wdw

となる.

ここからは, ωω(t)として考えることになる. 本編での式(λωに変えてある)

(50.9)Λ=(S0ω)q,I

は,

(4)Λ=(S0w)I(wω)q

と書ける. まず, (3)より,

(5)(S0w)I=2Icos2w

である. また, (1)において両辺をq=constとしてωで微分することで,

(6)0=I2mω3sinw+2Imωcosw(wω)q

となり, これを整理して,

(7)(wω)q=12ωtanw

となる. ゆえに, (5), (7)より,

(8)Λ=I2ωsin2w

となる.

Λを用いたHamilton方程式の記述は, 本編での式(λωに変えてある)

(50.10)I˙=(Λw)I,ωω˙

(50.11)w˙=ω+(ΛI)w,ωω˙

で与えられる. (50.10)(8)を代入すると,

(9)I˙=(Iωcos2w)ω˙=Iω˙ωcos2w

が得られ, (50.11)(8)を代入すると,

(10)w˙=ω+(12ωsin2w)ω˙=ω+ω˙ωsin2w

が得られる. (9), (10)が, 求める運動方程式である.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

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脚注

*1 : 本編での式

(49.12)I=Eω

および, ωが一定のときのHamilton方程式

(50.4)w˙=dE(I)dI

によって, w=ωtとなる(const=0とした).

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