ランダウ力学 §5問題3 解説

投稿日:  更新日:2022/09/02

物理学 力学

B!
すしぱく様によるフリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)からの画像をShinoryoが加工した画像

ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§5の問題3の解説です.

問題

一様な重力場(重力加速度g)のなかにある, つぎのような系のLagrangianを求めよ.
  1. つぎのような支点をもつ単振子:
    1. 支点が鉛直平面内の円周上を一定の角速度γで一様に動いている場合(図3).
    2. 水平方向にacosγtにしたがって振動している場合.
    3. 鉛直方向にacosγtにしたがって振動している場合.
本編図3図3

解答作成

  1. 支点の座標は(acosγt,asinγt)とできる(t=0のときに円の右端にいて, 図3において反時計回りに回るとする). よって, 質点mの座標を(x,y)とすると,
    x=acosγt+lsinφ,y=asinγt+lcosφ
    となる. これを時間微分して,
    x˙=aγsinγt+lφ˙cosφ,y˙=aγcosγtlφ˙sinφ
    となる. ゆえに, 運動エネルギーT
    T=12m(x˙2+y˙2)=12m{(aγsinγt+lφ˙cosφ)2+(aγcosγtlφ˙sinφ)2}=12m{a2γ2+l2φ˙2+2aγlφ˙(cosγtsinφsinγtcosφ)}(1)=12m{a2γ2+l2φ˙2+2aγlφ˙sin(φγt)}
    となり, ポテンシャルエネルギーU
    U=mgy(2)=mgasinγtmglcosφ
    となる. (1), (2)より, この系のLagrangianは
    L=TU=12m{a2γ2+l2φ˙2+2aγlφ˙sin(φγt)}mgasinγt+mglcosφ=12ml2φ˙2+maγlφ˙sin(φγt)+mglcosφ(3)+12ma2γ2mgasinγt
    となる. ただし,
    12ma2γ2mgasinγt
    f(t)=12ma2γ2t+mga1γcosγt
    の時間についての完全導関数であるから, これを省くことができて, 最終的なLagrangianは
    (4)L=12ml2φ˙2+maγlφ˙sin(φγt)+mglcosφ
    となる.

  2. もともとの単振子の座標は(lsinφ,lcosφ)であるから, 支点が水平方向にacosγtにしたがって振動している場合の単振子の座標を(x,y)とすると,
    x=lsinφ+acosγt,y=lcosφ
    となる. これを時間微分して,
    x˙=lφ˙cosφaγsinγt,y˙=lφ˙sinφ
    となる. ゆえに, 運動エネルギーT
    T=12m(x˙2+y˙2)=12m{(lφ˙cosφaγsinγt)2+(lφ˙sinφ)2}(5)=12ml2φ˙2+12ma2γ2sin2γtmaγlφ˙cosφsinγt
    となり, ポテンシャルエネルギーU
    U=mgy(6)=mglcosφ
    となる. (5), (6)より, この系のLagrangianは
    L=TU=12ml2φ˙2+12ma2γ2sin2γtmaγlφ˙cosφsinγt+mglcosφ=12ml2φ˙2+maγ2lsinφcosγt+mglcosφ(7)maγlddt(sinφsinγt)+12ma2γ2sin2γt
    となる. ただし,
    maγlddt(sinφsinγt)+12ma2γ2sin2γt
    f(φ,t)=maγlsinφsinγt+14ma2γ2t18ma2γsin2γt
    の時間についての完全導関数であるから, これを省くことができて, 最終的なLagrangianは
    (8)L=12ml2φ˙2+maγ2lsinφcosγt+mglcosφ
    となる.

  3. もともとの単振子の座標は(lsinφ,lcosφ)であるから, 支点が鉛直方向にacosγtにしたがって振動している場合の単振子の座標を(x,y)とすると,
    x=lsinφ,y=lcosφ+acosγt
    となる. これを時間微分して,
    x˙=lφ˙cosφ,y˙=lφ˙sinφaγsinγt
    となる. ゆえに, 運動エネルギーT
    T=12m(x˙2+y˙2)=12m{(lφ˙cosφ)2+(lφ˙sinφaγsinγt)2}(9)=12ml2φ˙2+12ma2γ2sin2γt+maγlφ˙sinφsinγt
    となり, ポテンシャルエネルギーU
    U=mgy(10)=mglcosφmgacosγt
    となる. (9), (10)より, この系のLagrangianは
    L=TU=12ml2φ˙2+12ma2γ2sin2γt+maγlφ˙sinφsinγt+mglcosφ+mgacosγt=12ml2φ˙2+maγ2lcosφcosγt+mglcosφmaγlddt(cosφsinγt)+12ma2γ2sin2γt(11)+mgacosγt
    となる. ただし,
    maγlddt(cosφsinγt)+12ma2γ2sin2γt+mgacosγt
    f(φ,t)=maγlcosφsinγt+14ma2γ2t18ma2γsin2γt+mga1γsinγt
    の時間についての完全導関数であるから, これを省くことができて, 最終的なLagrangianは
    (12)L=12ml2φ˙2+maγ2lcosφcosγt+mglcosφ
    となる.

参考文献

Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.

関連記事