ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§39の問題1の解説です.
問題
解答作成
重力加速度ベクトルを
となる. 非慣性系における運動方程式
において, 重力場のポテンシャルエネルギーを代入し,
となる.
となる(ただし, 初速度
のとき, のとき, の2次以上の項を無視). これ以上逐次近似を重ねても, の2次以上の項を無視する限りは変化はない.
これを積分して,
を得る(ただし, 粒子の最初の位置ベクトルを
さて, 具体的に粒子の位置を北半球とし,
軸を鉛直方向に 軸を子午線に沿って極へ向かう方向に
とる. すると, 重力加速度ベクトル
となり, 角速度ベクトル
となる(ただし,
とすれば,
となる.
自由落下に要する時間は,
と求められる. これを
となる. つまり, 自由落下する物体は, 地球の自転によって鉛直方向から
具体例を挙げて考える
以下のように具体的に状況を設定して考えてみよう.
- 重力加速度は
である*1. - 東京付近の状況を考える. 東京は北緯
である*2. - 自由落下のスタート地点として, 東京スカイツリー天望回廊を考える. 東京スカイツリー天望回廊の高さは
である*3. - 地球の恒星日は
である*4から, これを基に角速度を計算すると である.
以上を
参考文献
Landau, L. D.; Lifshitz, E. M. 力学. 広重徹, 水戸巌訳, 増訂第3版, 東京図書, 1974, 214p.
ちなみに
Picardの逐次近似法に関しては, 多くの常微分方程式の教科書に記載があることと思います. 例として下に挙げておきます.
- 大谷光春. 理工基礎 常微分方程式論. サイエンス社, 2011, 215p., (ライブラリ新数学体系), ISBN 978-4-7819-1273-8.
関連記事
ランダウ力学 §39問題2 解説
ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§39の問題2の解説です. スポンサーリンク 問題 地球表面から初速度
ランダウ力学 §39問題3 解説
ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の§39の問題3の解説です. スポンサーリンク 問題 地球の自転が振子の小振動におよぼす影響を見いだせ(いわゆるFoucault振子). 解答作成 非慣性系における運動方程式 \...
ランダウ力学 解説掲載をしていない問題について
ランダウ゠リフシッツ理論物理学教程の力学(増訂第3版)の解説掲載をしていない問題についてコメントします. スポンサーリンク 解説作成を検討している問題 解説作成を検討している問題を, 以下に示します. 解説作成の取りやめを決断した問題 解説作成の取...
脚注
*1 : Physical Measurement Laboratory of NIST. “CODATA Value: standard acceleration of gravity”. Fundamental Physical Constants from NIST. https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?gn, (accessed 2020-12-05).
*2 : 国土地理院. “都道府県の庁舎及び東西南北端点の経緯度(世界測地系)”. https://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/CENTER/kendata/zenken.pdf, (参照 2021-02-20).
*3 : 東武鉄道株式会社, 東武タワースカイツリー株式会社. “アウトライン | 東京スカイツリーを知る”. 東京スカイツリー オフィシャルサイト. https://www.tokyo-skytree.jp/about/outline/, (参照 2021-02-20).
*4 : 日本天文学会. “恒星日”. 天文学辞典. 2019-01-07. https://astro-dic.jp/sidereal-day/, (参照 2021-02-20).
0 件のコメント:
コメントを投稿 (Please feel free to ask me about your questions! You can use Japanese or English in the comments.)