ここでは, 無限べき乗の収束に関して議論を行っていきたいと思います.
無限べき乗とは
ここで取り扱う「無限べき乗」とは, 正の定数に対して,
のことを指します.
例えば, のときは明らかに
となります. 一方, のときは
のように正に発散します(, , , ). 基本的にはが小さければ収束し, が大きければ発散すると考えられます. その境目はどこなのか, 考えていきましょう.
無限べき乗の収束の視覚化
無限べき乗の収束・発散の議論は, しばしば以下のように視覚化されます.
のグラフとのグラフを用意します. ここではとして, グラフを描いてみます.
このグラフから, 座標の値としてを求めていくことを考えます.
まず, からへ線を(縦に)引きます. そこからへと線を(横に)引きます. このようにして, 1段階目のが分かります.
さらに, へと線を(縦に)引きます. そこからへと線を(横に)引きます. このようにして, 2段階目のが分かります.
さらに, へと線を(縦に)引きます. そこからへと線を(横に)引きます. このようにして, 3段階目のが分かります.
以上を繰り返していくことで, が求まります. の場合, のグラフとのグラフに交点がありますので, の値はその交点の座標の値になるでしょう.
逆に, 以上のことをに対して行うと, のグラフとのグラフに交点がないので, の値は発散してしまうことが分かります.
無限べき乗の収束の収束・発散
このように考えると, 「無限べき乗が収束するか」という問題は, 「のグラフとのグラフが交わるか」という問題に置き換わることになります. これを利用して, 無限べき乗が収束するの上限を求めていきましょう.
が無限べき乗収束の上限値である場合, のグラフとのグラフが「ギリギリ交わっている」状態, つまり「接している状態」であるといえます. よって, その接点では
の2式が成り立たなくてはなりません. それぞれの式の意味は,
- その座標では2つのグラフが交わる
- その座標では2つのグラフの傾きが一致する
になります.
まず, 微分の方の式を計算すると,
を得ます. ただし, は自然対数の底を表します. これを微分ではない式に代入して計算することで,
を得ます. よって, のグラフとのグラフが接している状態になるのは, の場合に限り, その接している座標はということになります.
ゆえに, 無限べき乗 (ただし, )は,
となります.
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