Einstein-Hilbert作用は, 一般相対性理論において, 最小作用の原理を通してEinstein方程式を導く作用である. ここでは, Einstein-Hilbert作用を用いてEinstein方程式の導出を行う.
目次[非表示]
一般相対性理論における作用
一般相対性理論における作用は, Einstein-Hilbert作用(Einstein-Hilbert action)
と書ける. Einstein-Hilbert作用は
である. 一方, 物質場の作用は
である(ただし,
Einstein-Hilbert作用の変分
一旦Einstein-Hilbert作用の変分をとってみる
Einstein-Hilbert作用の変分をとると,
となる.
計量テンソルの行列式の変分の計算
となる(ただし,
を用いることで,
となる.
- 第2項:
と の入れ替えに関して反対称な項と対称な項の積 - 第3項:
と の入れ替えに関して反対称な項と対称な項の積 - 第4項:
と の入れ替えに関して反対称な項と対称な項の積
であるから,
となる.
となる.
となる.
Ricciスカラーの変分の計算
Ricciスカラーの変分をとると,
である. ここで, 逆行列の定義から
となるから,
となる*1.
となる.
Ricciテンソルの変分の計算
次に, Ricciテンソルの変分を計算する. Ricciテンソルの定義をあらわに書くと,
である(ただし,
ここで,
は, ある点
さて, 与えられた点で局所慣性系を用いることにすれば,
となる(ただし, ベクトル
である)*3.
と書くことができる.
また, Christoffel記号を
となる. 上で
となるが, 括弧の中の第1項と第3項で添え字
となる. そして,
となる.
再度Einstein-Hilbert作用の変分に戻る
となる. このうち, 最後の項はGaussの発散定理によって, 4次元の体積全部をとりかこむ超曲面の上に積分に交換される. 積分限界では場の変分は
に等しい.
物質場の作用の変分
物質場の作用の変分をとると,
となる. エネルギー運動量テンソルは, Lagrangian
すなわち
と定義されるから,
となる.
Einstein方程式
最終的に,
となる. これが任意の変分
を得る.
参考文献
- Landau, L. D., Lifshitz, E. M. 場の古典論:電気力学, 特殊および一般相対性理論. 恒藤敏彦, 広重徹訳. 原書第6版, 東京図書, 1978, 450p., (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程, 2), ISBN 978-4-489-01161-0.
- Schutz, Bernard F. シュッツ相対論入門 II 一般相対論. 江里口良治, 二間瀬敏史訳. 第2版, 丸善, 2010, 349p., ISBN 978-4-621-08311-6.
- 辻川信二. 現代宇宙論講義:基礎からの系統的な理解を目指して. サイエンス社, 2013, 201p., (SGCライブラリ, 99), ISBN 978-4-7819-9972-2.
- “アインシュタイン方程式の作用原理による導出”. 2015-04-06. http://blog.livedoor.jp/ihccr/pdf/Einstein_eq.pdf, (参照 2021-03-25).
脚注
*1 :
*2 :
となる. ゆえに,
となる.
*3 : 今の場合, 局所慣性系であるから
0 件のコメント:
コメントを投稿 (Please feel free to ask me about your questions! You can use Japanese or English in the comments.)